<らくらく化学実験>
           もじもじ焼き文字

「実験テーマ」
火の文字を書く


「実験概要」
硝酸カリウムの付着している部分だけがよく燃えて、火が文字をなぞるように進んでいく。まるでカタツムリかヘビが這うがごとく、紙が燃えた後の軌跡が残る。小さな大文字焼きのよう。

「学習項目」

@  基本操作 A化学式 Bイオン C酸素 D燃焼 E反応速度


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「画 像」
左:筆や棒の先に試薬をつけて、紙に絵や文字を描く。
中:試薬を付着させたところだけ勢いよく燃える
右:焼き切れた様子が確認できる
  

「動 画」
硝酸カリウムを塗った部分がよく燃える!



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「準備物」 

硝酸カリウムKNO3 薬包紙 試験管 洗びん 試験管ばさみ ガスバーナー ガラス棒(または毛筆) 更紙 線香

「操作手順」

  WEB非公開

「注意事項」

1.  かなりの煙が出るので、十分な換気を行うこと。

2.  残った紙切れや線香は、水にぬらして、火が完全に消えていることを確認してから廃棄する。

「解 説」

1.  反応速度を決めるもの:硝酸カリウムの付着している部分に火が文字をなぞるように進んで、紙が燃えた後の軌跡が残る。小さな炎も見えるが、紙には延焼することがないので、試薬が付着している部分だけがよく燃えるのだということが視覚的に理解できる。よく燃える=燃焼しやすい=紙が酸素と結びつきやすい、すなわち反応速度が大きくなる理由を考えてみる。反応速度を左右する要因は、まず温度である。温度が上昇すると、反応に関係する原子や分子などの粒子の熱運動量が高まり、お互いの衝突回数が増加するのである。おおざっぱな言い方をすると、温度が10℃上昇すると反応速度は2倍になるとも言われる。次の要因は、触媒である。一定の粒子が反応を継続するためには、越えなければならないエネルギーのハードルがある。活性化エネルギーともいわれるが、そのハードルを低くして、与えるエネルギーが少なくても済むような働きをする物質が触媒である。そして、さらなる要因は、反応物質の濃度である。温度の条件と似ているが、反応に関わる粒子数が確保されないと反応が継続しないのである。空気中での燃焼反応は、酸素濃度が約20%という条件下で起こる。この実験の場合、硝酸カリウムの熱分解によって、酸素が発生する。この酸素が、紙の燃焼を助けるのだと考えられる。ただし、酸素濃度の高まるエリアは小さく、他の紙の部分の燃焼を助けるほどに至らないため、燃えた軌跡が残るのみとなる。紙であっても、燃焼を継続するためのエネルギーは一定量必要であることがわかる。

2.  硝酸カリウムは加熱するとよく溶ける:硝酸カリウムは、化学式 KNO3 で表される表される硝酸塩の一種であり、天然に産出するものではチリ硝石が古くから知られている。水溶液の温度による溶解度の差が大きい(80℃で169g〕 20℃で31.6g)ため、溶解度差を利用して精製(再結晶法)がしやすい物質でもある。また、工業的には、天然の硝石に含まれる不純物(塩化ナトリウムなど)に塩化カリウムを通じておき、より溶解度の小さな塩化ナトリウムを析出させて、硝酸カリウムを精製するというようなことも行われている。

       KNO3  → K+ + NO3- ・・・@

NaCl → Na+  + Cl- ・・・A

KCl  → K+ + Cl- ・・・B

塩化カリウムの追加(B)によりCl- の濃度が高まると、共通イオン効果によって、Aの反応が左方向に平衡移動する。

3.  火薬の代名詞:古くから火薬として知られ、ハーバー・ボッシュ法の窒素の固定化による大量の製法が確立されるまでは、火薬を代表する物質であった。実験では、線香の火をつけたが、硝酸カリウムは、比較的低温でも亜硝酸カリウムと酸素に分解する。硝酸カリウム自体が燃えるのではなく、近くに存在する燃料源となる有機物などの燃焼を助ける役割を果たす。密閉した容器内でも、酸化反応を助けるので、反応によって生じた酸化物(気体)が大きな体積であれば、爆発になることもあり、扱いは十分にな注意が必要である。

2KNO3  → 2KNO2  + O2 ・・・比較的低温の場合

 

「確認演習」

1.各試薬の成分を化学式表しなさい。

2.abcd各紙薬に含まれていると考えられる金属イオンを推定しなさい。

3.紙が激しく燃えるということは何を意味するか?

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編集:山田暢司