<らくらく化学実験>

       ファイナルカウントダウン

「実験テーマ」
ゆっくり進行する反応「時計反応」を観察する。

「実験概要」
ヨウ素酸カリウムと亜硫酸水素ナトリウムによる複雑な反応を経て、ヨウ素デンプン反応の呈色が見られる。

「学習項目」

@  反応速度 A濃度 B酸化還元反応



「動 画」
反応が観察できるまでをカウントダウン!


「準備物」

ヨウ素酸カリウム KIO3 0.54g〕 亜硫酸水素ナトリウム NaHSO3 1.0g〕 可溶性デンプン1.0g〕 試験管10(ae) 時計 グラフ用紙

「操作手順」

1.   ヨウ素酸カリウム KIO3 0.54g〕を水に溶かして100mL〕とし、0.025mol/L〕溶液をつくる。→A液

2.   亜硫酸水素ナトリウム NaHSO3 1.0g〕と可溶性デンプン1.0g〕を水に溶かして100mL〕とし、0.010mol/L〕の亜硫酸水素ナトリウム水溶液をつくる。→B液

3.   A液を5本の試験管(ae)に各54321mL〕ずつとり、beに水を加えて全量を5mL〕として、よく振り混ぜる。

4.   B液を別の5本の試験管に分けておき、試験管aeに同時に加えて時間の計測を開始する。

5.   試験管aeで、紫色に変化するまでの時間を記録する。

6.   試験管aeにおける亜硫酸水素ナトリウムの濃度〔mol/L〕と、色の変化までの時間の逆数〔/s〕の相関グラフを作成する。

「注意事項」

1.  B液を加える操作は、同時に行うなら5人必要だが、人手が足りない場合は、時間をずらして加えて、補正すると良い。また、振り混ぜ方も可能な限り条件をそろえること。

2.  B液に可溶性デンプンを溶かすために温める場合は、いったん室温に戻し、A液と同温にする。

解 説」

1.  複雑な酸化還元反応

一定時間をおいて劇的に色の変化が見られる反応であるが、起こっている化学変化は複雑である。まず、亜硫酸水素イオン HSO3- がヨウ素酸イオン IO3- を還元してヨウ化物イオン I- が生成(@)する。同時に、まだ反応していないヨウ素酸イオン IO3- がヨウ化物イオン I- を酸化してヨウ素 I2 を生成(A)する反応が起こる。ここで、生成したヨウ素 I2 がデンプンと呈色反応するかと思いきや、残っている亜硫酸水素イオン HSO3- がせっかく生成してきたヨウ素 I2 まで還元(B)してしまうという、ややこしい反応が同時進行する。結局、亜硫酸水素イオン HSO3- がすべて消費されてヨウ素デンプン反応が見られるまで、一定の時間を要するという仕組みである。

IO3- + 3HSO3- → I- + 3SO42- + 3H+   ・・・@

5I-  + IO3-  + 6H+ → 3I2 + 3H2O  ・・・A

I2 + HSO3- + H2O → 2I- + SO42- + 3H+  ・・・B

全体の反応は次のCの通りで、実験に用いたヨウ素酸カリウムと亜硫酸水素ナトリウムのモル比が2対5である理由でもある。

2KIO3 + 5NaHSO3 → 3NaHSO4 + Na2SO4 + K2SO4 + I2 + H2O ・・・C

2.  時計反応

反応速度を生活レベルで視認できる化学変化として好例である。ゆっくりした反応を視覚的に確認できる反応を一般に、時計反応と呼んでいる。通常、化学反応は、反応に関わる物質の濃度が高くなれば、反応速度が大きくなる。この実験の化学変化は、イオン反応としては複雑であるが、亜硫酸水素イオンの濃度〔HSO3- 〕と色の変化までの時間の逆数〔/s(速度)をグラフ化してみると見事な相関が見られる。従って、亜硫酸水素ナトリウムの濃度が、全体の反応を律すると考えて良い。使用する亜硫酸水素ナトリウム(B液)に水を加えて濃度調整すれば、ヨウ素デンプン反応が見られる時間を予測することができるので、化学マジック的な要素もあって演示実験にも向いている。

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編集:山田暢司