らくらく化学実験

好き好き紙漉き  リサイクル葉書を作る
「実験テーマ」
牛乳パックから手漉きハガキを作る

「実験概要」
使用済み紙製品を粉砕し、主成分の繊維(セルロース)を取り出す。洗濯のりで水中に分散させてから網ですくい、乾燥させて紙を再生する。

「学習項目」

@  セルロース A繊維 Bリサイクル


水につけておくとはがしやすい

ミキサー30秒 量にもよりますが

市販の漉き枠が便利です

ぼろ切れの上へ
「準備物」
使用済み牛乳パック2本分 台所用洗剤 漂白剤 ミキサー ザル 洗濯糊 漉き枠() 布や新聞紙 アイロン 押し葉や花・習字の残り半紙など

「操作手順」WEB非公開

「注意事項」

1.  ミキサーでの水の使用量は、紙質や量により加減する。

2.  漉き枠()は、ハガキの大きさに木片をクギで組ませて網戸の網や筆巻などを張った簡単なもので十分。水が通るなら良い。

3.  押し葉や花、習字の残り半紙を千切ったものなどを漉き込んだりすると、手作りの楽しみが広がる。

「解 説」

1.  紙の繊維はセルロース

紙は、植物体の繊維質を水で分散させ薄く漉き上げ、乾燥させたものである。植物体のフレームを作る成分は、セルロースであり、β−グルコースが、脱水縮合によって連鎖し、直線上に並ぶ構造を持つ多糖類である。α−グルコースが、縮合してアミロースのらせん構造を作るのに対し、β−グルコースは第1炭素についている−OHの結合の向きが第4炭素のものと逆であるため、縮合によって角度のずれが打ち消し合い、直線上に並ぶ構造となる。この構造の違いが、両者の水溶性や粘性、加水分解を受ける酵素の種類の違いをもたらす。例えば、動物がアミロースのデンプンを分解することで、主なエネルギー源とできるのに、植物繊維は消化できないといった理由にもつながるのである。

2.  洗濯のりを加えて水中に分散させる

紙漉のポイントは何と言ってもノリを加えた水の中で繊維を分散させるところにある。アミロースがらせん状で水分子と多くの部分で親和しやすい構造であるのに対し、繊維の主成分であるセルロースは、直鎖状なので水分子が入り込みにくく、鎖状の繊維が絡まりやすいので、親水性の高い洗濯のりを加えて、水中で繊維を分散・安定させるという工夫である。和紙の紙漉でも、「ネリ」という粘剤(トロロアオイという植物の根から得られる)を加えて薄く漉き上げる手法がよく知られている。漉き上げた紙は次々に重ねていくが、紙がお互いにくっつき合わないというのも粘剤の効用である。

3.  紙の歴史

紙の発明は、一般的には中国後漢時代の蔡倫によるものとされているが、正確には、製紙方法を確立(西暦105)させた功績が、正史の「後漢書」に記されたことによるものである。紙そのものは、すでに古代中国の前漢時代に生産されている。発明当初の紙の原料としては、麻や布くずだったが、樹の皮(コウゾ、桑、竹など)が用いられるようになり、ヨーロッパに伝えられたものは、グーテンベルグの活字印刷の発明(1445)、ルターの宗教改革の発端をはじめ、政治や文化に計り知れない影響を与えることになった。我が国では、610(推古18)に高句麗の僧、曇徴によるというのが公式の記録であるが、女王卑弥呼が魏より受けた詔書やその後の倭の五王時代(5世紀)を経て、仏教伝来(欽明治世下:538年)とともに教典として大量に渡来していたことは確実であろう。

「注意と工夫」

  1. 広告や雑誌、包装紙など軟らかい紙ならば、パルプ作りの工程は省略できます。また、週間漫画本は色分けページが豊富なので、色つき紙をたくさん作りたいときに向いています。
  2. 漉き枠(※)は、木片をクギで組ませて筆巻を網にした物でも十分です。漉き枠キットは、1,000-1,500円くらいで購入可能です。
  3. 押し葉や花、習字の残り半紙を千切ったものなどを漉き込んだりすると、手作りの楽しみはさらに広がります。必ずしも薄いものでなく、岩石鉱物を入れることも可能です。


押し花を置いてからまた軽く漉く


あとは乾燥あるのみ


専門の漉き枠を使う


季節の花のたより
動 画:紙漉き施設にて:一度にたくさんの葉書ができる 専門の漉き枠を使っての紙漉き
職人さんによる紙漉(細川和紙)作業の様子
協力:島野元彦さん(小川町在住和紙職人)
    動 画:水槽で素材を撹拌し水に分散させる
    動 画:漉き枠に繊維の薄層を作り上げる
    動 画:一枚ずつていねいに重ねていく
「参 考」
 つれづれ化学草子:懐より紙を取り出し鳥の姿に引き結び

 紙の情報サイト:和紙の博物館:総合的に学習できる優良サイト
トップページへ戻る→
編集:山田暢司