<らくらく化学実験>

牛脂から石けんを作る

「実験テーマ」
石けんをつくる

「実験概要」
油脂をアルカリで加水分解すると石けん(脂肪酸のアルカリ塩)が生成する。塩析法による石けん作り  → オリーブオイルから石けんをつくる(熟成法)はこちら

「学習項目」
@脂肪酸エステル A加水分解 Bけん化 C界面活性剤


「画 像」
左:沸騰石を忘れずに:かなり激しく沸騰することがある。強アルカリを使っているので慎重に。
右:塩析してきた成分:飽和食塩水は多めに作っておくと良い。水で十分洗うこと。



「動 画」
けん化後に飽和食塩水に注ぎ込む
石けんの塩析が起こる。→塩析法は、短時間に石けんを作りたい場合に向いた方法。本格的な石けんは、熟成法がオススメ。


準備物」

「操作手順」

 WEB非公開

「注意事項」

1.  水酸化ナトリウムを使用するので、保護メガネは必須である。

2.  強いアルカリ分が残っている場合もあるので、石けんとして使用する場合でも、洗顔には使わないこと。

解 説」

1.  石けんは脂肪酸のアルカリ塩

石けんは油脂(グリセリンと脂肪酸のエステル)にアルカリを反応させて、加水分解により得られる脂肪酸のアルカリ塩である。この加水分解の作業を「けん()化」と呼び、特に1g〕の油脂を「けん化」するのに必要な水酸化カリウムの質量〔mg〕をけん化価という。油脂を構成する炭化水素基(反応式中のR1R2R3)の種類により、分子量か大きい油脂ほど、けん化価が小さくなる。

  CH2-O-CO-R1           CH2-OH       KO-CO- R1

  |                 | 

CH-O-CO-R2  + 3KOH  →   CH-OH            KO-CO- R2 

|       水酸化カリウム   |

  CH2-O-CO-R3           CH2-OH            KO-CO- R3

油脂(エステル)         グリセリン      石けん

 

ちなみに、石けんの由来であるが、その昔、古代ローマ時代のサポー(Sapo)の丘の神殿で、いけにえの羊を焼いて神に供えるという神事が行われていた。焼けて滴り落ちる羊の油脂が、木の灰(アルカリ)と反応して、石けんが偶然にできたという。それが浸み込んだ土は、汚れを落とす不思議な土として大切にされ、サポー(Sapo)が石けん(soap:ソープ)の語源となったといわれている。

2.  石けんの洗浄作用は疎水基と親水基の合わせ構造による

実験で飽和塩化ナトリウム水溶液を用いるのは、ナトリウムイオンの共通イオン効果により塩析させるためである。未反応のアルカリも残っていることがあるので、水で洗浄してpH試験紙により安全を確認しているが、もともと石けんは弱酸の塩であるため、水に溶解すると加水分解によって、弱塩基性を示す。

   R-COO- + H2O → R-COOH + OH- 

ろ紙上に残るのが石けんであり、水に溶けにくい疎水基(炭化水素鎖)と水に溶けやすい親水基(カルボキシル基)を合わせ持つ界面活性剤である。水溶液中で、疎水基を内側に、親水基を外側にした球体(ミセルコロイド)をつくっており、その中心に油を取り込む(乳化)ことができる。繊維に付着した油汚れが落ちやすくなるのは、この乳化作用のためである。ただし、石灰水を加えると沈殿が起こったように、Ca2+Mg2+を含む硬水中では、石けんとしての役割を果たしにくくなる。

環境保全の立場から廃油から石けんを製造するというリサイクルの試みが行われるようになっているが、劇薬の水酸化カリウムや水酸化ナトリウムの使用には注意が必要である。代用品として性質の穏やかなオルトケイ酸ナトリウム(Na4SiO4nH2O)が推奨されることも多くなっている。

「参考・引用」


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編集:山田暢司