らくらく化学実験

度胸のいる青銅鏡つくり

「実験テーマ」

古代の鏡『青銅鏡』をつくる

「実験概要」

銅とスズを加熱、溶融させて合金(青銅)とし、型に入れて冷やす。固化した合金の面を磨き上げると美しい鏡面に仕上がる。古代鏡は青銅で作られていたが、合金を磨いて鏡にまで仕上げてみる。高温で融解させた金属を扱うには、なかなか度胸が要るが、手応えのあるダイナミックかつロマンを感じる実験。

「学習項目」

@  金属 A合金 B融点

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「画 像」
動 画:7ファイル
  1. 木炭粉末を追加する様子 5秒
  2. るつぼばさみを使い振り混ぜる その1 5秒
  3. るつぼばさみを使い振り混ぜる その2 5秒
  4. るつぼばさみを使い振り混ぜる その3 5秒
  5. るつぼばさみを使い振り混ぜる その4 5秒
  6. 型入れの様子 5秒
  7. 研磨作業 5秒
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「準備物」
スズ30g〕 銅片70g〕 活性炭薬さじ()1杯 ルツボ(またはおたまなどの金属器) マッフル るつぼバサミ 金属製の型 金網 耐水ペーパー ピカール

「操作手順」WEB非公開

「注意事項」

1.  保護メガネ必須。とにかく火傷に注意。型から取り出すのは完全に冷却した後に。

2.  研磨作業は思いの外重労働である。数日間かけるつもりで気長に構えると良い。

3.  完成した青銅鏡はさびやすいので、乾燥した場所で保管する。

「解 説」

1.  青銅は銅とスズの合金

銅の融点1085℃、スズは232℃であるが、混合することで凝固点降下が起こり、スズの割合を30%にすると融点が700℃程度にまで低下する。合金にすることで、低温での鋳型加工や彫金が楽になるのである。スズの割合をさらに高くすると、もっと融点が下がり、磨くと白銅色〜銀色になって映り方は自然な感じになるが、もろく割れやすくなってしまう。逆に、銅の含有率を増やすと、黄金〜茶色を帯び、いかにも金属という雰囲気になる。実験では、炭素粉末を加えたが、加熱溶融の際に金属が空気中の酸素と反応しやすいのを防ぐのと、不純物として含まれる金属酸化物を還元しやすくするためである。

2.  人類初の合金

青銅は、人類が、天然に産出する金属に手を加えて造り出した最初の合金である。約6000年ほど前に興った加工文化は、青銅器文明とも呼ばれ、鉄製造の技術が興るまでの長い年月、一般的な金属として様々な形で利用されてきた。我が国でも、弥生時代にはすでに多くの青銅が生産されるようになり、各地の遺跡から器を始めとした生活品や装飾品、鏡、仏像、釣り鐘、戦闘時の防護具や鉾、剣などが発見されている。大和政権下の古墳時代になると、さらに多くの青銅鏡が作られるようになった。青銅製の遺跡物は、その後一般化した鉄器が錆びやすく形を残しにくいのに比べ、当時の形状を止めている物も多く、古代の政治状況や文化を知る上で貴重な資料である。

3.  権威の象徴「古代鏡」

青銅鏡と言えば古代鏡を指すことが多く、皇位の象徴である三種の神器のひとつでもあることから、格別な扱い方をされてきている。鏡は古代の人たちにとって神秘的な存在であり、左右対称とはいえ実像を映し出す鏡は、どこか別の世との接点を持つ異様な物として見なされていたに違いない。日本各地の遺跡から出土した銅鏡の成分%比を分析すると、古代の鏡は比較的銅の含有量が高いものが多いので、鏡面は黄金色に光り輝いていたのではないかと推測されている。古代の邪馬台国についての唯一の資料である志倭人伝には、女王卑弥呼が魏王より鏡百枚を与えられたという記述があるが、魅惑的な光沢は、金属製品がなかなか入手できなかった古代の人々に対し、支配者の権威を示すのに十分な効果を発揮したのではないだろうか。

「参考・引用」
・小倉毅『青銅鏡をつくる:埼玉県理化研究会会誌』
・関連ページ参照:つれづれ化学草子「うちつけに海は鏡の面の・・・」
「協力」
古代鏡画像:前漢時代:埼玉大学大学院大橋修一研究室

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編集:山田暢司