水耕栽培芽が出ためでたい 吸水性ポリマー

 
 たくさんの水を吸い込む不思議物質「吸水性ポリマー」。ふりしぼっても水がでてくるわけではありませんが、内部にたくわえられている水を利用し、水耕栽培のまねごとをしてみましょう。少々水やりをさぼっても、めでたい結果が得られる、ずぼらな人向きの実験です。

「手 順」
  1. 紙おむつを破き、中身の吸水性ポリマーの小片を取り出す。これを適当な器に敷き、水を含ませる。
  2. ニンジン上部の切れ端を上にのせ、そのまま数日様子を見る。

ポリマーの取り出し


食器にセット

「注意と工夫」
  1. ポリマーが飛び散らないよう、新聞紙等を敷いておきます。
  2. 約1gでも、軽く100mlは吸い込みます。もちろん器を傾けても、水はこぼれたりしません。
  3. ずぼらな人向けの水耕栽培と銘打ってありますので、できるだけ水やりをしないことにします。しかし、Naの濃度が高くなってくると成長に悪影響が出ますので、水を加える際にはポリマーを洗ってやります。
  4. 食卓や机上など、毎日目にできるところに置くようにしましょう。
  5.  ポリマーが白っぽく見えるので、オレンジ色の切れ株と細かい緑のコントラストがきれいなニンジンを使ってみましたが、他の野菜(大根、ゴボウ、セロリ、レタス)や種まきにチャレンジしてもおもしろいでしょう。

一週間ほどで芽がニョキニョキと、数pほどになる。あまり伸ばし過ぎると転倒しやすいので、つまみサラダにしてご賞味のほど。


「解 説」

高分子電解質による膨潤
・・・吸水性ポリマーは高分子化合物ですが、分子内にカルボキシル基がイオンになったもの(−COO)とナトリウムイオン(Na)を含んでいます。両イオンともに水との親和性が高く、水と出会うとナトリウムイオンが離れて外に出て行き、ポリマーにつながっている−COOが互いに反発します。そのため、分子間にスペースが生まれ、そこに水が入り込んで全体が膨潤するのです。鎖の部分は架橋されているので、分子は溶解しないで、高分子ゲル状態となります。市販されている紙おむつには、ポリアクリル酸ナトリウムが使われていますが、元の体積の数百倍にまで水を吸い込むとされています。 また、膨潤したポリマーに強酸を加えると、水がしみ出てきます。これは、酸が加わることでカルボキシル基が−COOHに戻り、ナトリウムイオンを含む水が出てきたことによります。この場合は、酸の水素イオンとナトリウムイオンが交代する、イオン交換が起こっています。この種のポリマーの性質は、イオン交換樹脂として、水の精製(不要なイオン種を除く)に利用されています。




固形状態のポリアクリル酸ナトリウム


膨潤した状態


食材の切れ端から生命の息吹を感じる
・・・・・・高分子吸水ポリマーは、衛生用品の他、吸湿性建材、土壌保水剤、保冷剤など、様々なものに用いられています。特に、砂漠の緑化計画のような地球的規模のプロジェクトでは、大きな効果が期待されています。
 実験では、捨てられる運命にあるちっぽけな根菜の切れ端を使って、芽を出させることに成功しました。種からではなく、植物体の一部がまた成長を始める・・・。これは、単純なようで実に奥深い自然現象のように思えます。家庭の食卓上でセロリをつまみ菜にするのも良し、職場の机上のミニオアシスとするのも一興かと・・・。


関連実験ページ:不思議べとべと物質
関連実験ページ:イクラ何でも!  


「確認演習」
  1. 高分子の鎖につながっているカルボキシル基がイオン化し、互いに反発して、分子間にスペースが生まれる様子を図説しなさい。
  2. 膨潤したポリマーに希塩酸を加えると水がしみ出てくるのはどうしてか、説明しなさい。
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編集:山田暢司