<らくらく化学実験>
 
  ハエもびっくり、敏感物質!

「実験テーマ」
ハエが止まっただけで爆発()する敏感物質をつくる。


「実験概要」
アンモニアとヨウ素により三ヨウ化窒素を合成する。生成物を小分けして紙にこすりつけておき、乾燥させれば、安全に爆発させることができる。ハエがとまるだけで爆発するという敏感な物質。音は大きいが、まあ安全。

「学習項目」
 @  単体と化合物 A化学反応式 


「画 像」
左:生成物をこす
右:生成物を紙にぬるだけ




動 画:薬さじで触れる
 


「動 画」
紙で触れる


準備物」「操作手順」

  WEB非公開

「注 意

1.  濃アンモニア水を使用するため換気に十分注意する。

2.  保護メガネ必須。使用済みの器具やろ紙等は乾燥する前に手早く処理すること。

解 説」

1.  シンプルな単体と化合物から合成されるヨウ化物

アンモニアとヨウ素を混合させることで生成してくる沈殿固形物は、三ヨウ化窒素 NI3 である。合成される三ヨウ化窒素は、アンモニアとも複雑な立体構造をとると考えられるが、極めて不安定であり、正確な構造を決定するのが難しいため、ここでは便宜的に次のように化学式 NI3 として扱うことにする。

 

NH3 + 3I2  → NI3 + 3HI 

 

シンプルな単体の代表であるヨウ素と化合物のアンモニアから合成される爆発物であるが、古くは19世紀初頭に合成方法が報告されている。簡単な操作で作成できるので、デモンストレーションとしてよく扱われることが多いが、使用器具を乾燥する前に手際よく片付けることが必要である。実験後に床に落とした微量の物質が足で踏まれるだけで破裂音がすることもある。しかし、時間とともに分解していく物質でもあり、大量に作ったり、密閉容器に詰め込むなどしなければ、さほど危険性はない。

 

2.  ハエが止まっただけで爆発?

生成する沈殿固形物は、主に三ヨウ化窒素 NI3 であり、衝撃に敏感で爆発を起こしやすいことで知られ、ハエなどの虫が止まっただけでも爆発するなどと表現されることもある。実際に虫が止まって爆発したという事実は定かではないが、それだけ敏感な反応であることを示している。合成物をろ紙に集めて乾燥させると、紙や羽、筆の先で軽く触れただけでも破裂音を伴って分解・爆発し、ヨウ素の蒸気である紫色の煙が発生してくる。耳をつんざく乾いた大きな音がするので、音に弱い人は注意したい。三ヨウ化窒素の衝撃による分解反応は、次のような反応式で表される。

 

2NI3 → N2 + 3I2

 

「参 考」

岩田久道・後藤顕一『魅せる化学の実験授業』東洋館出版社


「演 習」

1. 生成した物質は三ヨウ化窒素(NI)である。この物質が爆発する反応を化学反応式で表しなさい。ただし、価標を使い、構造式で表現すること。

2. ヨウ素1.0gから三ヨウ化窒素(NI)が生成し、この三ヨウ化窒素がすべて反応したとする。(ヨウ素の原子量M=127)

(1) 生成した三ヨウ化窒素(NI)のモル数を答えなさい。

(2) 爆発により発生した窒素の体積を標準状態で答えなさい。

3. 使用した濃アンモニア水10mLの濃度は28%、密度d=0.90g/cm3であった。

(1) 使用した10mLに含まれていたアンモニア分子の数を求めなさい。

(2) この濃アンモニア水の濃度をモル濃度(C=n/V)で求めなさい。


【管理者】山田暢司
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