「実験テーマ」放射線の飛跡を見る             

「サブテーマ」奇跡の飛跡
「実験目的」簡易霧箱を作成し、安全な線源から放射線の飛跡を観察する。
「学習項目」

@原子の構造:原子核 電子 陽子 中性子
A放射能とは何か:放射能の利用
B
その他:イオン化 エタノール 過飽和


「画 像」
安全な放射線源:市販のランタンのマントル。小さく10分割くらい出来る。
ドライアイスでよく冷やします。容器は高さがある方が、過飽和状態を作りやすい。




「画 像」
エタノールを注入:エタノール蒸気が充満してきたところに塩ビパイプをこすって静電気を起こすと雑イオンが除去できる。側面からライト照射して観察。LEDライトが良い。
軌跡が次々と:白い軌跡が次々と流星群のように現れる。飛行機雲と同じ原理。肉眼では、ゆっくり雲が現れ、かなりはっきりとした線が観察できる。よく見ると、飛跡にも種類があることに気づく。


動 画」ランタンから放射線
黒紙をバックにときどき白く細長い煙が現れる。これが、放射線が通過して生じるエタノールの霧である。塩化ビニール管をこすって静電気を起こした瞬間によく現れるようだ!








動 画」専用の簡易観察器での実験
実によく見える。やはり塩ビパイプをこすって雑イオンを除くる効果が大きい。
たまに縮れるような軌跡も見えるが、ベータ線ではないかと思われる。



動 画」
少し規模の大きい装置での観察
かなり高価な装置。
ものすごくたくさんの放射線が出ていることがわかる。




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「準備物」
「操作手順」

  WEB非公開

「注意事項」

1.  ライトは。白色LEDが観察しやすい。

2.  キャンプ用ランタンのマントルは、外国製に観察しやすいものが多いようだ。


「注 意」

1.    部屋を暗くして、横から懐中電灯を照らすとより見えやすくなる。電灯は白色LEDが観察しやすい。

2.    また、放射線により生成したイオンはその他の雑イオンと反応して消耗していくので、塩ビ管をこすって静電気を起こし、容器に近づけることで雑イオンを排除しながら作業すると良い。静電気の効果が出るように、容器はプラスティック製が適しているようだ。


「確認演習」

1.    放射線について

(1)射線とはどのようなものか、説明しなさい。
(2)放射線にはどのような種類が存在しているか、例を挙げなさい。

2.    放射線によるイオン生成について

(1)空気を構成する原子とは何か?
(2)それらがイオン化する場合のイオン反応式を書きなさい。

3.    この実験の安全性について

(1)通常の生活で受ける放射線量の基準値を調べなさい。参考資料等の情報源は明らかにすること。
(2)この実験の安全性について、具体的な数値を挙げて説明しなさい。


 ( )年( )組( )番 氏名(         ) 

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「解 説」

1.  ウィルソンの霧箱の改良版

放射線の軌跡を視覚で実感する実験である。放射線が空気を通過すると、空気を構成する原子(窒素や酸素)に当たり、その中の電子がはじき飛ばされ、陽イオンが生成する。過飽和状態の水蒸気中でこの放射線の電離作用が起こると、生成した陽イオンが凝結核となり、周囲にある水が集まって水滴が生じる。放射線の道筋に沿って霧が発生するので、まるで飛行機雲のような形で飛跡が観察されるというものである。ラングスドルフ拡散型霧箱であるが、これはもともと、スコットランドの 物理学者ウィルソンの霧箱の原理として知られる。ウィルソンは、過飽和状態での霧の発生の研究を通じて、凝結核となる塵やゴミを除いても、霧のような飛跡が生じることに着目した。彼は、空気中に生じたイオンが凝結核となっていると考え、それが放射線の電離作用によるものであるということを明らかにし、1927年のノーベル物理学賞を得ている。

2.  放射線源はマントル

軌跡の観察には、容器内部に過飽和状態を作ることが必要である。水より揮発しやすいエタノールを用いているので、容器下部を強烈に冷却して過飽和にするためにドライアイスを用いている。放射線とは言っても、扱う放射線量はごくわずかである。大地や宇宙からの自然放射線()の観察も可能であるとされるが、実験ではキャンプ用ランタンに使われる繊維(マントル)の小片を利用する。マントルには放射性物質(トリウム)が含まれており、石油に湿らせた繊維が燃焼する際に、より輝きを増す効果がある。また、放射線は荷電粒子であるので、磁場の中では飛跡が曲げられる。磁石を近づけて、放射線に関する学習を深めることができる。放射線の種類は、飛跡の長さや形を比較することで放射線の大まかな区別ができる。α線は、太くて長めであるが、β線はちぢれて短めである。

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編集:山田暢司