らくらく化学実験_旋光性 偏光 光学異性体
偏光板で旋光調べ
 
 鉱物や有機化合物の一部には、光の振動面を回転させる性質(旋光性)を有するものがあります。身近なところで砂糖水にその現象が見られるようなので、偏光板を使って、その旋光性を確認してみましょう。
手 順」 所要時間20分
  1. 偏光板を2枚切り出し、互いの偏光面が90度になるように、目印になる色紙2色を端に貼っておく。
  2. ビーカーを逆さにし、その上に偏光板の片方をセロテープ等で貼り付ける。
  3. 別のビーカーを用意し、側面をガムテープや厚紙等でくるむ。上部のふちに、もう一方の偏光板を貼りつけ、2のガラスビンに重ねる。上から見て、下の偏光板が直接見える位置に少しガラスビンをずらし、偏光板が重なったところが、もっとも暗くなるように、目印の色紙の角度を補正する。
  4. 濃厚なスクロース(ショ糖)液を上のビンに入れ、スクロース水溶液を通して見る偏光板の色が微妙に明るくなることを確認する。
  5. 上の偏光板の角度を右回りに少しずらし、光が最も暗くなる点を探す。
偏光面が直交して暗くなった状態でそれぞれに目印を付ける。2色の細紙を使ってみた。
いきなり安直な仕組みだが、これで下から光がはいるようになる。
A領域は偏光板が直交して最も暗い状態だが、溶液を透過して来た方(B領域)はやや明るい。
偏光板をゆっくり右にずらしていくと、B領域に暗のピークが表れる。   

「注意と工夫」
  1. この実験は、簡単な作業で光の旋光現象を確認することを目的にしたものです。正確な角度を測定するには、円形偏光板の中心に軸を通し、分度器を使う方法もありますが、安定した値を求めるのは生徒実験ではなかなか難しいようです。
  2. 演示する場合は、OHPを光源にすると効果的ですが、水溶液をこぼさないよう注意が必要します。
  3. 実験に要する時間は短いと思われるので、偏光のイメージがわくように偏光板でセロテープや電卓の表示板などを観察させると良いでしょう。特に、岩石鉱物の薄片プレパラートの裏側と接眼レンズに偏光板を付け、接眼レンズを回転させながら観察すると、鉱物結晶がきれいに偏光するのが観察できます。

解 説」
光学異性体は旋光性を示す
 実験では、偏光面を90度ずらせてた偏光板を上から見ると、スクロース溶液を通過させた方(B領域)がやや明るくなっています。次に、上の偏光板を少し右に回転させると、B領域に暗さのピークがやって来ます。スクロース溶液を通過した偏光面が、右方向にねじ曲げられということがわかります。
 スクロースの場合もそうですが、有機化合物の中心炭素原子が4つの異なる基を持つ場合、その炭素原子を不斉炭素と呼びます。不斉炭素原子を含む化合物には、構造式で平面的には同じでも、左右鏡像の関係である光学異性体が存在します。この左右鏡像の関係にある化合物(L体とD体)は、光の振動面を回転させる性質があり、偏光板による平面偏光面を右に回転(観察者から見て)させれば、+、左なら−を化合物名に付して表記することがあります。L体とD体は左右同じ角度だけ偏光面を回転させる性質(光学的性質)を除けば、物理的化学的には差がないとされています。
 スクロース(ショ糖)は不斉炭素原子を持ち、右旋性で、比旋光度[α]
20D=+66.5°を示します。非旋光度は、測定する光の波長、温度、層の長さ、濃度によって異なり、旋光性物質1gが溶媒1mlに溶けている溶液の層1dmについての旋光角に相当します。

光の振動面を限定する偏光板
 光は進行方向に対して90度に振動しています。ところが、偏光板は、光の振動面を一方向に限定するもので、偏光板を2枚90度にずらせて重ねれば、光の通過をほとんどシャットアウトすることができます。この性質は、電卓の数字表示板やサングラス、3Dシアターの効果などに応用されています。
  
  関連実験ページ:偏光板マジックボックス
  関連サイト:カラー偏光板の紹介(株)エムコ

「確認演習」
  1. アミノ酸であるアラニンの基本構造を立体的に描き、左右鏡像体が存在することを示しなさい。
  2. スクロースは、比旋光度[α]20D=+66.5°である。光学的に右旋性のスクロースの化合物名をLD+−等の文字を使い、正確に表記しなさい。
  3. 光は反射によってその振動面を変化させることがあるという。このことから、光が反射している池の水面をサングラスをかけて見ると、水中の魚が見えやすくなる理由を答えなさい。


「参 考」
 ・化学を楽しくする5分間(日本化学会 化学同人)
 ・作って楽しむ理科遊び(宮田光男 裳華房)

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編集:山田暢司