らくらく化学実験_新素材 高分子膜 イオン 浸透圧 コピー食品 ゲル

イクラ何でも

 上から液体をぽたぽた滴下すると、宝石のようなカプセルが次々と誕生します。カプセルの中にイクラのエキスを封印すれば立派な人造魚卵!最近食べるイクラの色つやが変わったような気がするのはイクラ何でも気にしすぎ?
この実験についての詳細「準備・手順・注意・工夫」等については、関連の研究大会等で資料・データ等を配布していますので、その機会をご利用下さい。以下、参考資料のみ掲載します
食紅で着色するとまるで宝石のよう!
動 画:人造イクラを大量生産してみた!




「注意と工夫」
  1. アルギン酸ナトリウムは良く溶かしておくことが必要です。ピペット使用は先端に不溶物が詰まりやすくあまり勧められません。
  2. アルギン酸ナトリウムと塩化カルシウム水溶液を調整する際にはガラス棒は別のものを使用すること。
  3. 塩化カルシウム水溶液をややアルカリ性に保っておき、食紅の代わりにフェノールフタレイン指示薬を使用すると鮮やかな色変化が確認できます。

直接流し込んでもかなり丸いものができる 

スライムにのせて偽ケーキ作りなどのお遊びも


「解 説」
不溶性の膜が生成する
 最近の食品の中には生鮮食品をまねた、いわゆるコピー食品が多く見られるようになりました。よく話題に取り上げられる「人造イクラ」は実験のような方法でカプセルの中にエキスを封入して作られているようです。
 材料のアルギン酸ナトリウムは、分子内の−COOH(カルボキシル基)のH部がナトリウムイオンと交換されたもので、水溶液中で高い粘性を示します。このカルボキシル基部は、マグネシウムイオンやカルシウムイオンなどの多価イオンとも強く結合し、水に不溶なゲル化皮膜を作ります。このようにして生成した膜は動植物の細胞同様、水分子やイオンのような小さな粒子の出入が可能な半透性を示すため、内部に大きな粒子を含む液を封入すると、外部溶液との間に浸透圧を生じます。いわゆる「膨潤状態」になるために、あの独特な触感(食感?)が得られるのです。応用として、濃度を適当に調整し、カプセルがふくらんだり縮んだりする様子を観察することができます。

生命誕生の鍵を握る
 
コピー食品として活躍中の半透膜ですが、実はこの物質、生命誕生の鍵を握っているのではないかとも考えられています。それは、太古の昔、希有な条件が重なり淡水下で濃縮された分子群が、カルシウムイオンの存在する海水と接触し、細胞膜の原型を生成したのではないかというものです。確かに希薄な海水よりも、限定された膜構造の中で種々のタンパク質が形成され、生命としての連続性が生まれたというアイディアは、なるほど説得力があるようにも思えます。
関連実験ページ:不思議べとべと物質
関連実験ページ:水耕栽培 芽が出ためでたい
「演 習」
  1. 塩化カルシウムの化学式とその水溶液中に存在するイオン種を書き出しなさい。
  2. 塩化カルシウム1gを50mlの水に正確に調整して得られる濃度を求めなさい。
  3. アルギン酸ナトリウムとある種のイオンが反応して膜を生成する様子を図説しなさい。
  4. カプセルを食塩水に入れた際に起こる変化を図説しなさい。
  5. このようにしてできるカプセルは、どのような用途に応用できるか、例をあげなさい。
  6. 食紅のパッケージに表示されている成分を調べなさい。
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編集:山田暢司