<リビングケミストリー>

「実験テーマ」電気でパンケーキを焼く

「サブテーマ」ほっといて、ほっとケーキ!

「実験概要」
ホットケーキミックスに電気を通じると、
熱が発生して見事に焼きあがる。しかも、次第に電気が通らなくなり、ほっといてもスイッチが切れるというしくみ。
「学習項目」
@  イオンとイオン結晶 A炭酸水素ナトリウムの熱分解 B物質量と気体の体積
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「参考画像」

ステンレス板を使用:感電注意!セットしたら手を触れないこと。 15分程度で焼き上がる。
動 画:出来上がったホットケーキをカット!
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「準備物」「操作手順」WEB非公開

「注意事項」

1.   感電に注意。電源を入れた後は、決して手を触れないこと。また、牛乳パックを転倒させてしまった場合でも、あわてて手を出さないこと。

2.   ステンレス板の端は、手を切りやすいので、ヤスリをかけて滑らかにしておく。

「解 説」

1.   イオンが電気を導く

イオン結晶は、正負のイオンが電荷を中和するように規則正しく並んで構成され、結合はかなり強く、イオンの動きが抑制されているので、電気を導かない。しかし、水のような極性を持つ溶媒に溶解すると、イオンが自由に動き回るようになるので電気を導く。溶液は、いわゆる電解質水溶液となる。材料のホットケーキミックスには、イオン性の物質(NH4+Cl-Al3+など)も含まれているので、水に溶かすことで電気を導くようになる。コンセントにつなぐと、電気エネルギーにより熱が生じ、含まれている炭酸水素ナトリウムが次のように熱分解を起こし、発生する気体により生地が膨らむのである。

2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2 

しかし、この実験の面白いところは、熱によって次第に水分が失われ、ほっといても焼き上がればうまい具合にスイッチが切れてくれるというところにある。イオンが動けなくなると電気が通りにくくなるということがよく理解できるのである。 

2.   電気でパンを焼く

この実験では、電気エネルギーが熱エネルギーに変換されることや水の蒸発熱を熱化学方程式も併せて考察することもできる。あくまで電圧・電流が一定と考えた場合の電力量Wは、W=Pt=VItJ〕であるが、電源は交流なので、cosθを乗じてW=Pt=VI cosθtJ〕となることやイオンが振動するように移動することには留意したい。ちなみに、ホットケーキを電力で焼き上げるためには、大きなエネルギーが必要である。発生する水蒸気だけに注目しても、水を沸騰直前まで加熱し、さらに蒸発させるための熱が必要である。水が蒸発する際の熱化学方程式は次の通りで、100〔℃〕の水18g〕を蒸発させるだけでも、41kJ〕ものエネルギーが必要であることがわかる。

H2O() = H2O() -41kJ

 

「確認演習」
1. ホットケーキのミックス粉には、イオン性の物質がたくさん含まれている。(画像参考)この物質について答えなさい。ただし、ミックス粉50gは水に溶かして100mLの溶液にしたと考え、水溶液は完全なもので、イオン性の物質は100%イオン化し、全ての化学反応は100%起こったと考える。
(1) ミックス粉には、イオン性の物質がたくさん含まれている。これらの物質の一般的な特徴を述べた文を完成させなさい。
「一般に融点や沸点が(     )く、(    )く割れやすい。結晶では電気が通らないが、水に溶けて、(     )となり、(    )を導くものが多い。
(2) ミックス粉の4.00%に炭酸水素ナトリウムが含まれていたとして答えなさい。
a. ミックス粉の溶液に含まれている、炭酸水素ナトリウムのモル数とモル濃度を求めなさい。(C=n/V)
b. 炭酸水素ナトリウムが熱分解する際の反応式を書きなさい。
c. 生成する二酸化炭素の体積V(標準状態)を求めなさい。

2. この装置では放置しておいても勝手に焼き上がり、電気のスイッチを切る必要がないという。これはどのように考えたらよいか、その理由を述べなさい。


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編集:山田暢司