らくらく化学実験

   美しい銀樹を作る

「実験テーマ」

美しい銀樹をつくる

銀イオンが、銅から電子を受け取り、還元されて析出する。

「学習項目」

@  イオン化傾向 A酸化還元反応 B金属

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「画 像」
左:寒天に硝酸銀を溶かし込んでおくと1日でこのように見事な銀樹が伸びてくる。
右:時間が経過すると、下部の針状の銀樹の先に逆反応により銅の析出も見える。


「画 像」
固化した寒天に直接硝酸銀を振りかけてみた。時間はかかるが、長い銀樹の成長が見られる。銅板のまわりは、銅イオンによる青〜緑色の呈色が見られる。


「画 像」
銀樹析出のためには一定の銀イオンの濃度が必要であることがわかる。

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準備物」

銅線15〔p〕 寒天粉末1〔g〕 純水100mL〕 硝酸銀0.2g〕 試験管 ろ紙 シャーレ 銅板

「操作手順」
 
  WEB非公開
 

「注意事項」

1.  使用する寒天の種類により固まり具合が違うが、やや薄めに調整するほうがうまく仕上がる。

2.  なるべく純水を用いる。

解 説」

1.  イオンへのなりやすさを表す「イオン化傾向」

金属の陽イオンへのなりやすさをイオン化傾向といい、金属元素をその順に並べたものをイオン化列と呼んでいる。例えば、カリウムは反応性が高く、電子を放出してカリウムイオンとなって安定しやすいが、金はほとんどイオン化することはないという、金属には反応性に違いがあることを理解しやすい指標である。硝酸銀 AgNO3 は、水溶液中 AgNO3 Ag+ + NO3- のように電離しているので、銅線を入れるとイオン化傾向の違いにより、次のように酸化還元反応が起こる。

還元反応:Ag+ + e- Ag     酸化反応:Cu Cu2+ + 2e-

全体としては、2Ag+ + Cu 2Ag + Cu2+ となり、銅からは還元されてきた単体銀が析出してくるのである。これは、イオン化のしやすさ CuAg という比較から、イオン化しやすい銅が電子を放出し、その電子を銀が受け取るというように単純に説明される。この電子授受反応を別々のところで起こるようにして発明されたものが電池であり、現在でもイオン化傾向を利用して電流を誘導し、エネルギーを取り出すという設計の電池は大半を占めている。

2.  金属が樹木のように析出する

銀樹をつくる実験では、硝酸銀の水溶液に銅片を糸で吊す方法が多く紹介されているが、壊れやすくなかなか見事な銀樹にはならない。しかし、寒天やろ紙を使うと銀樹が安定して比較的大きく美しい金属樹ができる。銀樹の析出後、溶液が青くなるので、銅イオンの生成によるものであることも確認しやすくなる。寒天が褐色に濁ってくることもあるが、硝酸銀と有機物の一部が反応したものと考えられ、試薬の濃度を下げたり、低温で反応させることで、濁りをある程度押さえることはできる。

ちなみに、水道水では銀イオンが塩化物と反応して白濁しやすくなるので純水の使用を勧めるが、寒天中にもともと含まれている塩化物イオンと反応してしまうことはやむを得ない。銀イオンは、塩化物イオンと反応し、次のように水に難溶性の塩化銀 AgCl を生成する。

Ag+ + Cl- AgCl

しかし、塩化銀は光化学反応によって銀が還元されるが、この銀は粒子状であるため、輝きはなく、暗灰色を呈する。

「参考・引用」
盛口襄・高田博志『いきいき化学アイデア実験』新生出版
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編集:山田暢司