<らくらく化学実験_リビングケミストリー>


「実験テーマ」卵を浸けてご卵?

ぷよぷよ卵が膨らんだり縮んだりする。浸透圧の変化に反応して卵殻膜を水分が通過する。

「実験概要」
卵殻がきれいに溶け去った卵膜だけのつるつる卵。この卵膜を真水に浸けたり砂糖水につけたりすると卵の大きさが変わる。浸透圧のなせる技を観察する。

「学習項目」
 @  浸透圧 A半透膜 B透析

*************************************************
「画 像」
水に浸けておくと水が入り込んでぱんぱんになるが、糖分の高張液に浸すと逆にしぼんでくる。
短時間ではあまり見かけに変化はないが、数字には現れてくる。

***************************************************
「準 備」

 卵膜だけのつるつる 大きめの空きビンまたはビーカー 食酢300mL ラップ デジカメ 約20%砂糖水 デジタル計量器

「操作手順」
WEB非公開:掲載情報は、指導者向けであり、一般への公開は危険を伴う場合もあるため、ネット上での公開は停止しています。詳細データは、各研修会や発表会にて配布しています。

「注意事項」

1.  卵殻の質量変化はわずかなので、デジタル計測器の使用が望ましい。

2.  使用した卵は、冷蔵放置であれば中身は腐敗することはないが、食する場合は、焼くかゆでるかするのが安全。

「解 説」

1.  卵が膨らんだり縮んだり

殻を溶かし去った後には、半透明で厚さ約0.07ミリの薄い卵殻膜が残るが、この膜は、弾力のある主にタンパク質からなる緻密な繊維状構造を持っている。卵膜だけになった卵をスキンエッグともいい、その昔マジシャンが、内容物を上手にかき出して洗浄したものを、卵を突然手に出したり隠したりという手品に使ったとも。真水に浸けておくと、卵がパンパンになって膨らんでくることは質量の変化や画像の比較から明らかである。砂糖水に浸け直すと、今度は、始めよりも一回り小さくなってしまう。これらは、卵殻膜と卵内部に存在する物質の粒子の大きさが関係して起こる現象である。『ナメクジに塩』『青菜に塩』ということわざにあるように、動植物の細胞を境にして、細胞内部の水が移動することで、細胞内の膨圧が変化するのである。

2.  浸透圧

細胞内には、糖類、タンパク質などの粒子 が、熱運動をしながら存在しているが、それらは比較的大きな粒子であるため細胞膜を透過できず、膜に衝突して跳ね返されてしまう。その際に生じる力が浸透圧である。小さなイオンや水分子などは細胞膜を通過することができるので、そのように選択的な透過現象を示す膜を「半透膜」と呼んでいる。半透膜を隔てて浸透圧の差が生じると、その圧力差を和らげようと水が移動していくわけだ。一般に、希薄溶液中での浸透圧(Π)は、c:モル濃度(電解質の場合はその電離している粒子数に比例)、R:気体定数、T:温度により、次のように表すことができる。

 

Π=cRT

 

これは、ファントフォッフの式と呼ばれるが、溶液中の粒子の振る舞いを気体の状態方程式とほぼ同様に扱うことができるということに留意したい。

3.  浸透圧の活用

保存を利かせるために食品を塩漬けや砂糖漬けにすることがある。これは食品内部の浸透圧が高いため、微生物自身の水分が奪われてしまい、その繁殖が抑えられるというものだ。また、身近な半透膜としてセロハンがあり、コロイド溶液の実験などで多用されているが、そのメカニズムは人工透析の原理にも応用されている。その他、工業的には、半透膜で純水と溶液を仕切り、溶液側に大きい圧力をかけ、溶液から純水の方に水を浸透させて淡水化を図る方法や、無菌水や超純水をつくる技術などにも応用されている。

「参考・引用」
山田暢司「半透膜を通して移動する水」理科教育ニュース 2010.11.18


トップページへ戻る
「らくらく化学実験」http://rakuchem.com/    
編集:山田暢司