らくらく化学実験_物質の三態 昇華 二酸化炭素 分子結晶

       ドライアイスにトライ

 物質を低温にすると、我々が普段生活している常温の世界では起こりにくい特異な現象を観察することがある。ドライアイスを使って、低温の世界にトライしてみよう。


<ドライアイスの昇華>
「画 像」
金属製スプーンが鳴り響く!金属表面部分で昇華が激しく起こることによる。金属の熱伝導性が良いことの他、圧力の影響も考えられる。
 

「画 像」
昇華した二酸化炭素の圧力によりフィルムケースのフタが飛ぶ!30秒程度で軽い音とともに内容物も飛び散るので注意。
 


「画 像」コインのダンス
硬貨を押しつけると面白い動きをする。まるで硬貨がダンスしているよう。銅貨が最も適している。アルミ硬貨は、すぐに動きが止まる。これは熱伝導性の違いによるものと考えられる。
 


「動 画」ホバークラフト効果
表面から激しく二酸化炭素が昇華しているので、摩擦が小さくなる。実験台は滑らかなのでホバークラフト効果が高い。ドライアイス板上にキャラクター(アノマロカリス)を乗せてみた。
 


「画 像」
自作ホバークラフト:スーパー宮古モデル:木製イスにプラ製植木鉢を打ち付ける。ドライアイスは業者さんに厚めにカットしてもらうのが良い。厚さをかせぐのに、新聞紙を皿の底に敷いてみた。
プラ製皿はベアリングで止めてみた。校舎の廊下は、なるべく滑らかな場所を選ぶこと。
滑走にトライ!摩擦の関係上、できるだけ体重の軽い人が良い。


動 画:滑走
 



<ドライアイスが二酸化炭素であることの確認_二酸化炭素が水に溶解して酸の働きをする>

「画 像」
ドライアイスをやや塩基性に調整したフェノールフタレイン水溶液に落とす。二酸化炭素が溶け込んで、一瞬にして無色になる。
 


「画 像」
やや塩基性に調製した万能指示薬は、青色から緑色、黄色への変化が観察できる。二酸化炭素が酸性であることの確認ができる。
 


「動 画」
発生してきた気体を空のビーカーですくってみせる。ビーカーを軽く振ると色が変わる。
 


<発生した気体が重いということの確認>
「画 像」
水槽にドライアイスを入れて、昇華してきた気体がたまってきたところにシャボンを落としてみる。二酸化炭素が重いのでシャボンが浮かぶ。
 

「画 像」
発生した気体をろうそくの火にかけると酸素が一瞬遮断されて火が消える。気体が重いということの確認になる。

 


<エタノールとの混合で強力寒剤となる>

「画 像」デジタル温度計でドライアイスの表面温度を計る:-80℃近い低温であることがわかる。ドライアイスを細かく砕き、メタノールと混合すると扱い易い液体寒剤になる。昇華熱が奪われ-95℃近い低温が得られる。ただし、メタノールの扱いには注意。
 

動画:ミニトマトを凍らしてみた



<ドライアイスの灯火>
「画 像」
ドライアイス板2枚のうちの1枚にコルクボーラーで1㎝の穴を掘る。
マグネシウム粉末5gを穴に入れ、導火線としてマグネシウムリボンを差し込む。
着火してフタをする。激しい反応が落ち着いて、オレンジ色の柔らかい光が観察される。手を当てると冷たいはずのドライアイスから赤外線による温かみを感じることができる。
燃焼後:空気(の単体の酸素)がなくても燃焼が起こる。二酸化炭素分子中の酸素と化合により酸化マグネシウムと炭素の単体(黒色)が生成してくる。


動画:
 


<ドライアイスで遊んでみる>

「動 画」
ぽよよんシャボンができる





「画 像」
ドライアイスをバーナーであぶる。すぐさま手のひらに落とされると、反射的に熱いのではないかという反応をとってしまう。
メスシリンダー洗剤を入れてみた。泡がぼこぼこ、あとのことも考えて水槽の受け皿は忘れずに。


<実験プリント例>

「準 備」

ポリ袋 ストロー 洗剤 フィルムケース 金属製スプーン 硬貨 マッチ マグネシウムリボン

「操作手順」
 
 WEB非公開

「解 説」

1.   ドライアイスは分子結晶

ドライアイスは、二酸化炭素の固体である。二酸化炭素分子( O=C=O )を構成する炭素と酸素の二重結合( O=C=O )部分は、電気陰性度の差により、電荷の偏りが存在するが、構成原子が直線上に並んでいるので、正負の電荷が打ち消し合い、分子全体としては無極性となる。δ+δ-(デルタ)は、わずかに電荷に偏りがあることを示す。

              δ- δ+ δ-

             O=C=O

ドライアイスは、無極性の分子結晶であるので、分子同士が引き合う力が弱く、昇華しやすい。昇華温度は、約-79℃、液体にならないので扱い易く、保冷剤として使われる。細かく砕きメタノールと混合すれば、温度を-95℃近くまで下げることができる強力な寒剤ともなる。ポリ袋や容器に入れると、短時間で昇華して発生してきた二酸化炭素が充満してくる。二酸化炭素の分子量は44であり、同量の空気が入ったポリ袋を用意して重さを比べると、ややズシッとくる感じがあり、なるほど二酸化炭素の方が重いということが実感できる。硬貨や金属製品と接触させるとさらに昇華が激しく起こり、振動や時に音が鳴ったりしておもしろい。また、机上ではホバークラフトのように滑り、長い廊下を使うと数十メートルを滑走させることも可能である。

2.   弱い酸性を示す

ドライアイスは水と反応して、弱い酸性を示すので、水溶液をなめてみると少し酸っぱい味がする。一応反応式を示すが、解離定数は著しく小さい。

H2O + CO2 → H+ HCO3-   

HCO3-    → H+ CO32-   

指示薬の色が劇的に変わるのは、やや塩基性に調整された水溶液を二酸化炭素が中和していくからである。フェノールフタレインは、赤紫から一気に無色透明になり、BTBは、青→緑→黄のように水溶液の色が連続的に変化する様子が観察できる。紫キャベツ色素を用いるのも楽しい。

「演 習」

  1. 「手順1・5」からわかることは何か?
  2. 物質の三態について、気化と昇華の違いを述べなさい。
  3. 「手順4・6」からわかることは何か?
  4. COの分子量を計算しなさい。また、空気の平均分子量と比較しなさい。
  5. 「手順6」からわかることを反応式を用いて説明しなさい。
  6. COは、水に溶けると弱い酸性を示す。そのことを反応式で表しなさい。
  7. COの温度と気圧相関図に、x=20℃(室温)の線とy=1気圧の線を色付きで描き入れなさい。また、常温下では、何気圧で液体となるか示しなさい。

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編集:山田暢司