らくらく化学実験_イオン化傾向 酸化還元 電子 電池

重ねて電池

 金属の性質の違いを利用して、電池を作ってみましょう。身近な金属であるアルミニウムと銅を使うのが手早く便利です。

「手 順」

 この実験についての詳細「準備・手順・注意・工夫」等については、関連の研究大会等で資料・データ等を配布していますので、その機会をご利用下さい。
 
以下、参考資料のみ掲載します


「注意と工夫」
  1. ろ紙が大きすぎて、別のユニットの硬貨と接触していたり、電極を横に倒して全体が酢水に浸っていると光りません。また、ダイオードの+極を銅板に、もう一方がアルミニウム板につながっているかどうか確認して下さい。
  2. アルミフォイルを使わず、直接電極にダイオードをつなげてもいいでしょう。右画像は、高輝度発光ダイオードを使ったものですが、かなり明るい所でもよく光っているのが観察できます。同様な原理の簡易電池は多く、電圧が降下した場合は減極剤という物質を加える必要がありますが、ダイオードくらいならば、そのままかなり長時間に渡り発光させ続けることができるようです。
  3. 金属板は水洗いして良く乾かし、汚れがひどい場合は、家庭用洗剤か酢で洗ってみてください。
  4. 金属板として硬貨を使用しても同様な効果が得られます。しかし、硬貨を加工したり通貨以外の目的で使用することは法的に禁じられているので、勧められません。もちろん、法律で禁止されているのは、意図的な変造、加工、鋳造ですから、少し利用するくらいなら問題はないでしょう。ただし、利用する場合であっても、あくまで一時的な「使用」であることを強調し、目的を果たしたら、すぐに分解する必要があります。
動 画:直接電極に高輝度ダイオードをつなげたものですが、薄暗い部屋でもかなり明るく感じます。

「解 説」
さび易さの違いはイオン化列で表される
 
金属はそれぞれさびやすさに大きな違いがあります。例えば、鉄クギは水に濡らして2−3日放置しただけでも赤さびだらけになってしまいますが、エジプトの黄金のマスクを始め古代の歴史遺産にたくさん利用されてきた金のように、何千年経てもその輝きが失われることのないものもあります。一般に金属がさびる(=酸化)ことを化学的には、金属が電子を放出して酸化するという捉え方をします。また、各金属にはイオンへのなりやすさ(イオン化傾向)に違いがあり、その傾向を並べたものを「イオン化列」と呼んでいます。
【イオン化列】代表的な金属をイオンになりやすいものから順に
リチウム>カリウム>カルシウム>ナトリウム>マグネシウム>アルミニウム>亜鉛>鉄>ニッケル>スズ>鉛>(水素)>銅>水銀>銀>プラチナ>金
※水素は金属ではありませんが、水溶液中に存在する水素イオンとの関係で基準となるので列に含めてあります。
金属の組合せにより電池を作る
 イオン化列は、左の金属ほどイオンになりやすく(電子を放出しやすい)、右に位置するものほど逆に電子を受け取りやすくなることを示しています。そこで、イオン化傾向の違う金属どうしを組合せれば、電子を放出しやすい金属から、電子を受け取りやすい金属へと電子が移動するのです。電子が移動するということは、「電気が流れる」ということですから、金属の組合せにより電池を作ることができるわけです。
 紹介したユニット電池では、アルミニウムと銅の組合せ6ユニットで、ダイオードを発光させてみました。原理は、アルミニウムがわずかに溶け出るときに出る電子を銅の方に流すというものです。あまり大きな電流が得られませんが、たくさん組合わせることによって、電圧を高めることが可能になるのです。
 実は、この場合の銅は電極の役割をするだけで、銅の表面に近づく水素イオンが電子を受け取るのですが、この点についてはあまり細かいことには触れないでも良いでしょう。

ボルタの電池
 今から200年ほど前、ヨーロッパの化学者ボルタは、フランス皇帝ナポレオンの面前で、大量の亜鉛と銅貨を組み合わせて放電の実験を行いました。皇帝は大変感激し、ボルタを褒め称えたといいます。2枚の異なる金属板を組合せた簡易電池は、彼の名にちなみ「ボルタの電池」と呼ばれています。また、電圧の単位「ボルト」も、もちろん彼の名に由来するものです。
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編集:山田暢司