らくらく化学実験
   
      労せずして「ろうそく」

「実験テーマ」
廃油からろうそくを作る

「実験概要」
油脂に廃油凝固剤(高級脂肪酸)を混合させて冷やすと固まる

「学習項目」

@  油脂 A脂肪酸 B蝋(ろう)


「画 像」
左:ガラスビンのろうそく。問題なく使えるが、小さい子供のいたずらや転倒に注意。
中:いざ停電という場合には心強い。防災必須グッズに?
右:自作キャンドル台


「動 画」
40秒過ぎに部屋を暗くしてみた。結構輝く。



準備物」

たこ糸4〔p〕(太め) アルミホイル セロテープ ガラスビン(容積200mL〕程度:倒れにくい安定した形)4本 廃油200mL〕 ナベ 温度計 凝固剤 割りばし 香料・着色料 点火用ライター

「操作手順」WEB非公開

「注意事項」

1.  ろうそくを使用する場合は、周りに燃えやすいものがないことを確認し、小さい子どもがいたずらしないよう注意する。

2.  着色料としてクレヨン使用を勧める例があるが、有害な気体を発生する危険性があるので、専用の香料や染料(キャンドルカラー)を使うこと。

解 説」

1.  凝固させた廃油がろうそくに

多くの廃油凝固剤として使用されているのは、12-ヒドロキシステアリン酸 CH3-(CH2)5-CH(OH)-(CH2)10-COOH であり、動物性・植物性脂肪で最も多く含まれる飽和脂肪酸である。唐ゴマから この物質を廃油に混ぜると、この脂肪酸はコロイド粒子となって廃油中に均一に分散するが、油の温度が下がると、粒子がくっつきあって網目状の三次元構造をつくる。液状の廃油をその中に閉じ込んだままゲル化し、物理的に固化するのであって、油自体が分解などの化学変化を起こしているわけではない。加熱すると再融解し、冷やせばまた固化を繰り返す。引き上げた芯であるたこ糸に点火すると、始めはたこ糸自身が燃焼して大きな炎となるが、たこ糸が短くなってくると、気化してきた油が燃焼の中心となる。気化した油は、次々と供給されるので、たこ糸の芯自体はほとんど燃えてしまうことはない。また、使用したガラスビンの容積・形状にもよるが、燃焼による対流が起こり、二酸化炭素が排出され、酸素も十分に供給されるので燃焼が継続するというものである。

2.  廃油凝固剤は飽和脂肪酸

食用油の繰り返し使用は、油の変質(過酸化物の生成など)を招くので、可能ならより新しい油を用いることが望ましい。しかし、使用済み油(廃油)を、流しに捨てて処理することは避けねばならない。1mL〕の油を流すと、小魚が生息可能な水に戻すのに風呂桶1杯分の水道水を要するとも言われる。そこで、河川水の汚染防止という環境意識の高まりとともに、廃油に凝固剤を加えて固めてゴミ処理するという方法が一般化した。多くの廃油凝固剤として使用されているのは、12-ヒドロキシステアリン酸 CH3-(CH2)5-CH(OH)-(CH2)10-COOH であり、動物性・植物性脂肪で最も多く含まれる飽和脂肪酸である。主に唐ゴマから得られるヒマシ油を水素添加で硬化させ、加水分解により得られる脂肪酸である。

 

 CH3-(CH2)5-CH(OH)-CH2- CH=CH-(CH2)7-CO-     :グリセリン

   ヒマシ油      ↓H2      (3基の-OHでエステルをつくる)

 CH3-(CH2)5-CH(OH)-CH2- CH2-CH2-(CH2)7-CO-

    ヒマシ硬化油    ↓加水分解

CH3-(CH2)5-CH(OH)-(CH2)10-COOH

    12-ヒドロキシステアリン酸

 

また、この実験では「ろうそく」という表現を用いたが、本来の蝋(ろう)は、高級脂肪酸と一価または二価の高級アルコールとのエステルで、融点が高く油脂状の物質である。主に動植物の油脂などから採取される。ただし、この実験のように、廃油に高級脂肪酸を混ぜ込んだものをろうそくと見立てたように、実用上よく似た性質をまとめて「ろう」と呼ぶことも多い。近年は、石油の原油を分留して得られるパラフィン系(炭化水素)のワックスがろうそくとして用いられている。

「参考・引用」

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編集:山田暢司