らくらく化学実験」/Fun Chemistry Experiment


     ベターなバター

「サブタイトル」

バターを作る

「実験概要」

生クリームをかき混ぜるとふわふわの泡状になるのはご存じの通り。でも、さらにひたすら混ぜ続けていくと泡は消え、液体から分離してきた淡黄色の固形分が得られます。試しにちょっとなめてみるとこれがなんとも絶妙なお味!クラッカーやパンに塗って食べればさらにベターなお味。

 

「キーワード」

脂肪 コロイド


「画 像」
材料はキッチンで!                  とにかく美味であることこの上ない!    
 


「動 画」
5分でおいしいバターのできあがり!


「準 備」「実験の手順」「補 足」「注意事項」

WEB非公開


「よく観察してみると」

ペットボトルに入れて振り混ぜると、はじめはシャカシャカと液体が動いている音がしていましたが、だんだん静かになってきます。のぞいてみると生クリームは液体というよりむしろ真っ白い泡の塊になって、ケーキを盛りつけるときの状態となります。ここからさらにボトルを振り続けますが、内部が泡になっているのでなかなか手応えがありません。手もかなり疲れてくるのですが、ここが勝負と根気強く振り続けることさらに数分。意外や意外、静かだったボトルがいきなり、また音を発してきます。でも、今度は液体のシャカシャカというより何か固形物があたるような音です。見ると塊のようなものが水分と分離してきたのがわかります。これがバターで、生クリーム時は純白だったものが、淡い黄色となっていることにも注目です。ここまでくると振る作業も楽になって、固形物がお互いにくっついて一定の大きさとなり、最終的には水分と完全に分離できます。バターを掻き出したいのですが、ボトルの口は小さいので、ハサミで真ん中を切断して取り出します。せっかくですから、パンやクラッカーに塗って味見をしますと、またまた驚き。口の中でとろけて、何とも良い甘い香りがしてきます。市販のバターに比べて格段に味が良いことは明らで病みつきになりそうです。材料の生クリームは決して安くないのですが、これだけの味を楽しめるのなら有効な投資ではないかと。それにしても、生クリームを振るだけでバターが得られる仕組みとは?

 

「化学的なしくみは?」」

 生乳のうち、脂肪分の多い成分を遠心分離器など得たものが生クリームで、脂肪分が18%以上のものと規定されています。牛乳パックに3.6とか4.0のような数値表記がありますが、その数値と比べると生クリームの乳脂肪分の多さがわかりますね。脂肪分が多いタイプの材料ほど、このバター作りに適していることは容易に想像できると思います。

生クリーム中では、脂肪がタンパク質の膜で包まれた乳脂肪球として分散しています。脂肪球は、一定の大きさを持つコロイドで表面電荷を持っているのですが、同じ電荷どうしがまるで磁石のN極とS極のように反発しあって溶液中で安定して分散していると考えられます。そこに振動を加えると、包み込んでいる膜が壊れて脂肪が出てきます。脂肪どうしが集まりやすくなるので、大きな塊を作って分離してくるというしくみです。冷蔵庫のドアポケットに生クリームを入れておくと、ドアの開閉の刺激によって固まることもあるそうです。


生クリームは白いのにバターが淡い黄色をしているのは、脂肪分に含まれるカロチンという色素によるものです。小さな脂肪球でいるうちは光が乱反射されて白っぽく見えますが、膜が破れて脂肪が出てくると色が目立ってくるというわけです。カロチンを多く含む青々とした夏草をいっぱい食べた乳牛から採れるバターは色づきが良いというのもこういう理由が背景にあるのです。

 

bread and butter」=生活・日常

英語の『bread and butter』は、直訳すれはバターを塗ったパンですが、その意味合いは、生活・日常、あるいは生きるための手段ということを示します。それほどバターの歴史は古く、古代インドの叙情詩『マハーバーラタ』や聖書にはすでにその記述があります。起源はメソポタミア文明以前にさかのぼり、おそらくは皮袋に入れた生乳を吊るして、揺するなどして作っていたものと考えられます。西洋では、オリーブオイルと並んで利用される油脂でしたが、チーズのような保存性が無いため、塗り薬や化粧品、ランプ燃料としてももわれていたようです。食用としては、北欧から次第に南方へ普及が拡大していきましたが、本格的に食用として利用されるようになったのは中世以降です。日本には、徳川吉宗の時代にわずかながらも生産され、オランダ語由来の「ぼうとろ」や「白牛酪」という名称で呼ばれていたそうです。明治になって、外国人が多く流入するようになって需要が高まり、本格的に普及し始めました。

実験では使用した生クリームのおよそ半分(質量)くらいのバターしか得られなかったことからも想像できるように、バターつくりは高くつきます。数年前(2007-8)に、バターを素材にした製品の価格が異常に高騰したことがありましたが、これは世界中でバターの生産不足が起こったことによります。もともと牛乳にも3-4%程度しか含まれない成分で、調理やケーキ作りなどにも欠かせないので高価な食材といえるでしょう。ちなみに、実験で分離してきた水分(バターミルク)にも、たくさんのタンパク質・糖類・ミネラル・ビタミンが含まれているので、こちらも調理等で有効に使い切りたいところです。


【管理者】山田暢司
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