○素晴らしきかな、日本人!

 失われた人命、身体機能、エネルギーインフラ、行政機能、産業機能、医療・福祉・教育機関、等、ありとあらゆる社会機能が影響を受け、損害は甚大である。国家全体が取り組む復興には多大な労力が必要で、仮に取り返せる部分があるとしても、現況復帰にはとてつもなく大きなコスト、時間を要することは必至であろう。
 しかし、この未曾有の震災を伝える海外メディアは意外な観点で世界に情報を発信している。外国のレポーターは、皆そろって、この大災害にもかかわらず、被災民の冷静かつ秩序ある生活ぶりを、まさしく奇跡的な振る舞いとして絶賛しているのである。
 水も食料もない、厳寒地であるのに毛布も燃料もない、児童や生まれたばかりの乳幼児もいる、津波の海水で浸みた服を着続けている、命は取りとめたものの致命傷となりかねない負傷を負っている、家族の安否も不明、遺体の確認すらままならない、家も財産も仕事も失い今後の生活のめども立たない・・・そんな極限状態にあって、これだけ広範囲の被災地で、一件の暴動や暴行、略奪、放火のような混乱が起こっていないのである。
 人々は協力し合い、助け合い、自も被災民であるのに、どこの誰とも知らない子ども達に自分の食料を分け与え、年寄りに少しでも暖かく過ごせるように数枚しかない着物を譲り与えているのである。救援にあたった自衛隊や警察には感謝するこそすれ、一言も恨み言や文句を言わない。救援物資が届けば、自分よりもあの方々を先にと譲り合い、自分が支援を受けては感謝の言葉を忘れない。
 直接被害を受けなかった関東以西の都市部でも計画停電や交通網のマヒにも関わらず、何事もなかったかのように当たり前の生活をしようと工夫・努力を惜しまない。例えば、停電で信号機が消えればとんでもない混乱が起こるかと予想されたが、拍子抜けするほど日本のドライバーのマナーは高かった。
 原発事故の収拾に命賭けで臨む自衛官や警察、消防隊員の姿は、頼もしく感動的でさえある。海外のニュースで日本人の素晴らしさが伝えられると聞いても、日本人自身は当たり前のことだと思っているから、ニュースになる理由が理解できないのかもしれない。そこが、またニュースになるのだろう。
 

 これまで世界をリードしてきた先進国として抜群の安定した国家機能、最良の治安、優れた技術・生産力、豊富な自然環境、文化伝統、手先が器用で繊細、表現豊かな言語、物を大切にし、謙虚かつ勤勉、安定と平和を愛好する国民性・・・
 これら日本人が生まれながらに有する価値観・美徳は、困難に立ち向かい、復興の力となるだろうことは論を待たないところである。先日の卒業式では黙祷の後、国歌が斉唱されたが、あらためて日本という国家の一員としての自覚を持った生徒諸君も少なくないだろう。お互い、それぞれが可能な範囲で、このすばらしき国の復興に尽くしていこうではないか。

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Script by 山田暢司