「実験テーマ」 バイオカプセルでエタノール

「実験概要」
アルギン酸のアルカリ塩に混ぜ込んだ酵母菌の発酵によりエタノールが生成する。
上から液体をぽたぽた滴下すると、宝石のようなカプセルが次々と誕生する。カプセルの中にイクラのエキスを封印すれば立派な人造魚卵になるかも!

「学習項目」

@  ゲル Aアルコール発酵


画 像」
恒温槽がなければ図のようにしてできるだけ温度を一定に保つとよい

動画:アルコール発酵によって二酸化炭素の発生が観察できる



「準備物」
「操作手順」WEB非公開

「注意事項」

1.  A液B液ともにガラス棒でよくかき混ぜて完全に溶解させておく。

2.  純水でなく水道水でも問題は少ないが、雑菌が混入して繁殖すると、悪臭を発することがある。

解 説」

1.  カプセル中でアルコール発酵

ペットボトル中のバイオカプセルの周りには、二酸化炭素の泡が発生してくる。しかし、水面に浮上して泡を放すと、また水中に戻るを繰り返す。酵母菌の生命活動自体が目に見えるわけではないが、いかにも反応が起こっているという、リアリティー感がある。酵母菌のような微生物が、糖を分解して、二酸化炭素とエタノールを生成する活動をアルコール発酵という。酵母菌は、発酵という活動によりエネルギーを得て、生命を維持しているが、体内では、チマーゼという酵素の働きにより次のような化学反応が起こる。嫌気性下で起こる反応なので酸素が関わらないことに着目。

C6H12O6 → 2CO2 + 2CH3CH2OH  ・・・アルコール発酵

   この反応の過程で得られる、234kJ〕の熱エネルギーにより、ATP(アデノシン三リン酸)が生成され、生命が維持されるのである。なお、糖分として黒糖を使用する理由は、発酵の進行具合を、色が薄くなることで確認しやすいのと、黒糖に含まれるミネラルが発酵を促すと考えられていることによる。また、発酵の効率は、発生した二酸化炭素の量や糖分の密度測定、蒸留によるエタノールの分離等により確認する方法がある。

2.  不溶性のゲル化膜が生成する

アルギン酸は、天然コンブに含まれる多糖類として知られ、食品化学をはじめ様々な分野で利用されている。カルシウムイオンを含む水溶液に滴下すると、カルボキシル基部のナトリウムイオンがカルシウムイオンと交換され、水不溶の球状カプセル状のゲルが作成してくる。

2RCOONa  +  CaCl2  →  (RCOO)2Ca  +  2NaCl

アルギン酸ナトリウム       アルギン酸カルシウム

   (粘性大)             (ゲル状)

食品の中には生鮮食品をまねた、いわゆるコピー食品が見られるようになっているが、話題になる「人造イクラ」は、カプセルの中にエキスを封入して作られるようだ。また、この実験のように酵母菌を封入しアルコールを生産する機能を「バイオリアクター」、生産されるアルコールは「バイオエタノール」と呼ばれ、新エネルギー源として、にわかに注目されるようになっている。

「参 考」
大橋ゆか子「マイクロカプセルをつくる:楽しい化学の実験室U」(日本化学会編:東京化学同人)

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編集:山田暢司