紅花から学ぶ化学の授業実践

紅花  ベニバナ Carthamus tinctorius  末摘花
郷土ゆかりの花を実験素材として



<万葉集 巻十一 2363>

浅葉の野らに刈る草の 束の間も吾を忘らすな

【万葉仮名】紅之 淺葉乃野良尓 苅草乃 束之間毛 吾忘渚奈 

     淺葉野=埼玉県坂戸市浅羽野地区


紅花色素を利用した染色作業



ベニバナ色素の抽出と分離

  • 花びらには主に2種の色素
  • 水溶性の違いにより色素を抽出分離
  • 水中でもみ出し → 抽出 


色素と金属イオンとの反応=媒染

  
  • 植物色素:−OHと金属イオンの反応
  • 色調、繊維への固着度が変わる = 媒染
  • 染液に浸す → カリミョウバン(アルミニウムイオン)水溶液に浸す → 水洗
  • イオン性結晶と金属塩の一般的性質
  • 金属種、繊維種により色調が大きく違う


紅色素を塩基に溶かして得る
  • 紅色素のカルタミンはアルカリ塩には溶解する。
  • 絞りかす → 炭酸カリウム液中でもむ
  • 酸塩基反応  溶液の調整

紅色素を繊維に固着させる


  • 溶解した紅色素を繊維に固着させる
  • 紅染液 → クエン酸を加える → 繊維を入れる → 水洗
  • 酸の強弱 クエン酸による紅色素の遊離
  • 酸性度 PH 指示薬 様々な繊維



二種類の色素の色の違い

  • カルタミン(紅)とサフロールイエロー(黄)
  • 多繊交織布への染色


繊維による色素固着の違い_染物作品

  • 素材により色彩がかなり違う
  • 綿 絹 毛糸 他
  • 一般的な色素は動物繊維(絹・毛)には染まりやすいが、植物繊維(綿)には染まりにくい。分子構造(ペプチド結合等)が関係
  • 堅牢度は弱いとされるが・・・?

<発 展 的 学 習>
  • 塩基性酸化物と植物灰 アルカリ性とアルカリイオン

  • クエン酸と酸の働き・・・梅干しやレモンの絞り汁で代用

  • ベニバナの成分の利用
    • 色素の薬効:漢方薬
    • 食品添加物:着色料 天然色素として
    • 植物油:紅花油
    • 飲み物:ハーブティー


  • 色素の構造・・・構造式の特徴  官能基の指摘 フラボノイド色素


  • ベニバナと歴史、文学
    • 最古級の繊維染色技術:中東原産  エジプト第六王朝時代の碑文  エジプトのミイラの巻物染色
    • シルクロードを経て伝来:ベニバナ=「くれなゐ(紅)」 呉(くれ:高句麗が訛ったとも)の国の藍染め  日本には推古天皇時代に高句麗より伝来
    • 染料や薬用ベニバナを利用する文化は日本で開花
    • 古代の染色法:平安『延喜式』
      • アルカリには、カリウムを含む草木灰
      • 酸は梅の実からクエン酸
      • 必要な素材と量はわかるが作業工程は記されておらず、推測するのみ。
    • 紅花を扱った文学作品
      • 『源氏物語_末摘花』紫式部 茎の先端に付いた花を摘むことから
      • 『奥の細道』芭蕉
      • 『紅花物語』水上勉  など
    • 紅花と地域経済
      • 江戸の初期:最上ベニバナ(現在は山形県花) 酒田〜敦賀〜大津〜京「紅の道」
      • 化粧用の「京紅」は金の10倍
      • 上杉鷹山:米沢藩財政立て直しに貢献
  • 色素カルタミンの薬効
    • もともと漢方薬として知られる
    • 人体内の活性酸素を消し脳疾患を防止する働き